建築費以外にかかる注文住宅に必要な費用とは
愛知は大都市圏を抱えつつも地価が比較的安い為、戸建て住宅の割合が高いという特徴があります。そのため愛知では注文住宅の人気も高くなっていますが、マイホームは決して安い買い物ではありません。とくに注文住宅の場合は建築費以外にもいろいろな費用がかかります。家を建てるならそれらの費用についても把握しておく必要があります。
どこまでが建築費に含まれるのか
一般に、注文住宅の建設に必要な費用は建築費とその他の費用に分けられます。ただ注意が必要なのは、建築費に含まれる費用の内訳が建設会社によって異なる場合があることです。ある会社では建築費扱いになっているものが他の会社ではその他の費用扱いになっているケースもあるので、見積もりの段階でしっかりとチェックしておくようにします。
基本的にどこの会社でも建築費に含めているのは、本体工事費です。これはその名の通り住宅本体を建てるのに必要な諸経費で、仮設工事や基礎工事などの工事費、建築資材の購入費、作業員の人件費などがすべて含まれます。
これに対して、会社によって建築費に含める場合と含めない場合があるのが、付帯工事費です。これは、主として建物の周辺にかかる工事費です。具体的には、駐車場や門扉・塀などの外構工事、エアコンや照明器具などの設置工事がこれに当たります。注文住宅を建てる土地の状態によっては、地質調査費や造成工事費、ガスや水道の配管がない土地であれば引き込みのための工事費なども必要です。
もう1つ、会社ごとに取扱いがわかれるのが、設計料です。工務店やハウスメーカーの場合は設計料が無料というところが少なくありませんが、その場合はたいてい建築費の中に含まれているのが実情です。一方、外部のデザイナーに設計を依頼する場合は、通常は建築費とは別建てで計上されます。
手数料や保険料などの支払いが発生する
本体工事費及び付帯工事費のいずれにも含まれないものは、その他の費用として見積もりを立てておきます。その中には、住宅建築の際には当然に支払いが発生するものと、ケースバイケースで必要になるものの2種類があります。
まず、通常の住宅建築であれば必ず発生するものとしては、各種手数料があります。これには、建築確認申請を行う際の手数料、建物完成後の登記費用などが含まれます。申請を司法書士などの専門家に依頼した場合は、手数料に加えてそれらの専門家に対する報酬も必要になります。
なお、耐震性や省エネルギー性などに関する一定の要件を満たした住宅を建てた場合は、固定資産税の減税や住宅ローンの金利が優遇されるなどの特例措置が受けられる「長期優良住宅」と呼ばれる国の制度がありますが、この制度を利用する際にも認定を受けるための手数料が必要になります。
また、印紙代も必要です。住宅用地の購入時には土地売買契約にともなう印紙税を支払うことはよく知られていますが、注文住宅の工事請負契約を取り交わす時も印紙が必要になるので、これも費用に含めます。
さらに、マイホームを建てれば各種保険に加入するのは一般常識に属することがらといえますが、その保険料も必要になってきます。火災保険はまず必須として、愛知は地震による被害とから無縁とはいえないエリアなので、多くの住宅オーナーは地震保険にも加入します。また、新築を機に盗難保険に加入する人も少なくありません。
儀式や引越しのための経費も計算に入れておく
その他の費用には前記のほかに、ケースバイケースで発生するものがあります。その中でも発生する割合が高いのが、地鎮祭や上棟式などにかかる諸経費です。このうち地鎮祭とは着工前に工事の無事や作業員の安全を祈るための儀式で、一方の上棟式は住宅の骨組みが完成していよいよ内装にかかるという段階で士気を高めるために行うものです。
内訳は神主さんに支払う祈祷料や大工さんへのご祝儀、飲食費などですが、通常は工務店やハウスメーカーなどが万端手配してくれます。これらの儀式は宗教的な意味合いもあるため、人によっては不要と考えるかも知れません。ただ、危険な作業に従事する人たちの中には縁起をかつぐ人が少なくなく、また施主としての度量を見せる場でもあるので、きちんと対応しておくのが得策です。
また、物や人の移動にかかる諸費用も計算に入れておかなくてはなりません。その代表的なものは引越し費用ですが、現在持っている家財道具の運搬費だけでなく、新たに必要となる家具や家電製品などの購入費もそれらに含まれます。
さらに、建築現場を視察するための往復交通費なども計算に入れておく必要があります。現住居が愛知県外にあるような場合は、宿泊費の負担も考慮します。その他の費用の総額は、建築費の5~7%が相場とされています。しかし諸事情によって変動することもあるので、10%程度は用意しておくのが安全です。
注文住宅の建設にかかる建築費には、建物本体の工事だけでなく外構部分や配管などの付帯工事に必要な費用も含まれます。また、工事費以外にも登記等の手数料や各種保険料、工事中は大工さんへの心づけ、工事後は引越し費用などさまざまな出費が必要になるので、全体をきちんと把握したうえで資金計画を立てることが大事です。