家は広ければいいものではない?ちょうどいい広さの目安は?
同じエリアで同じ価格の住宅であっても、広さの異なる物件がいくつもヒットした経験はないでしょうか?同じ価格であれば少しでも広い家のほうがお得に見え、ミニマムな暮らしがしたい人であれば、安くて狭い家のほうが自分のライフスタイルに合うと考える人もいるでしょう。ここでは広さを重視して住宅を建てる際のポイントを紹介します。
そもそも一坪はどれくらい?一般的な家の広さは?
住宅の広さを表す単位は、土地や建物の広さに応じて平米や坪数などで表記されます。「敷地面積●●坪」「2LDK●●m2」などという表記が一般的ですが、そもそも1平米、1坪がどのくらいの広さを表すのか知らないという方も多いのではないでしょうか。
1坪とは、だいたい畳2枚分の広さ(約2畳)を表します。「不動産の表示に関する公正競争規約(表示規約)」によると、1畳=1.62平方メートルと換算できるため、1坪はおおよそ3.24平方メートル。約3mの正方形1個分と考えれば想像しやすいでしょうか。
2018年に住宅金融公庫が住宅ローン「フラット35」の申込者に対して行った調査によると、注文住宅の住宅面積の全国平均は126.8平方メートル(約38坪)です。建売住宅の平均面積は100.8平方メートルのため、戸建住宅は30坪~40坪程度の広さの家が多いようです。
家族にとって必要な広さとは
30〜40坪と聞くと、マンション住まいの方にとってはかなり広く感じるという方も多いのではないでしょうか。不動産公正取引協議会連合会の定める目安によると、一般的に1LDKとされている物件は、居室1部屋と8畳以上(4坪以上)のスペースを組み合わせたものとなるので、戸建住宅とマンション住まいでは求められる広さにはかなりの違いがありそうです。
また、同じ坪数でも単身住居か家族住居か、またその構成人数によっても広さの感覚は変わります。国土交通省が、住生活の安定や向上を促進するために発表した「平成28年住生活基本計画」では、健康で文化的な住生活を送るために必要不可欠な面積として、単身者で25平方メートル(約7〜8畳、約4坪)、2人以上の場合で10平方メートル×世帯人数+10平方メートルとしています。
4人家族であれば、10平方メートル×4人+10m2=50平方メートル。つまり約15畳(約7坪)となりますが、これはあくまでも最低限必要な面積です。同じ4人家族であっても子どもが小さければ走り回れる位のゆとりが欲しいという方もいるうえ、大人ばかりの世帯であれば柱や壁で一部屋当たりは小さく感じても、それぞれに居室が欲しいという場合もあります。まずはライフスタイルと照らし合わせてみることをおすすめします。
坪単価の計算方法
快適な広さで、かつ適切な価格の住宅を建てるうえでは、坪単価にも注目する必要があるようです。坪単価とは、1坪当たりの建築費を示す値です。住宅の本体価格を延床面積(各階の床面積を合計)で割ることで算出できます。実は、同じ住宅会社で建てた同じ床面積の家でも、坪単価に差が出ることがあります。
なぜなら、間取りや仕様の違いによって建築工事費が上がり、結果として坪単価もアップしてしまうからです。つまり、同じ価格の住宅であっても、広さの感じ方に差が出たり、同じ広さであっても価格が異なったりするのです。たとえば、2,700万円(30坪)のA社と3,200万円(40坪)のB社では、一見A社のほうが安く見えます。
しかし、坪単価を基準にすると、A社は90万円、B社は80万円となり、B社のほうが実は安いということがわかります。「延床面積を減らせば材料費や施工費が減って、同じ坪単価で本体価格だけを安くすることもできるのでは?」と思うもしれません。しかし、本体価格の3割程度を占めるキッチン、バス、トイレなどの住宅設備はどんな住宅であっても減らすことはできないので、設備機器のグレードを下げない限り、実は1坪あたりの金額は高くなるので注意しましょう。
家の広さに対して必要な収納スペースは?
住居スペースばかり広くても、収納スペースのない家では、結果として居住空間に物が溢れ、住み心地は悪くなります。住宅選びの際には、その家の収納率を計算しておくようにしましょう。
収納率は、住宅の総床面積に対する収納部分(押し入れやクローゼット)の面積比率のことです(キッチンや洗面化粧台の収納などは除きます)。理想とされている収納率は、戸建住宅で12~15%、マンションで8%以上といわれています。ところが、必要な収納率を満たしていても、満足度の低い住宅となってしまうケースがあります。
それは、収納効率を無視した家です。収納効率を上げるためには、一箇所に大きな収納を用意しがちですが、これは「集中型の収納」といわれ、持ち物の管理が疎かになり、家が散らかりやすい要因にもなるようです。
どの住宅にも必要なのは「分散型の収納」です。各フロアや庭付きの住宅であれば外への動線上にも必要な収納を用意し、暮らしに適した用意を怠らないようにしましょう。
家を建てるという決断は、一生に一度の買い物にもなり得ます。家族の生活や家計にも直結するからこそ、絶対に失敗はしたくないものです。また、生活し続けていれば子どもは成長し、家族のライフスタイルも変化します。住宅設備の入れ替えは意外と容易にできますが、家の広さや居室の数を変えるとなると簡単ではありません。せっかく建てた住宅に長く快適に住み続けるため、数十年後の生活も見据えた設計で理想のマイホームを手に入れましょう。