新築注文住宅の建設時に行っている検査とは?本当に信頼できるのか
注文住宅を建築すると、「自社検査をしっかり行い…」と述べる会社もあります。これは本当に信用できるものなのでしょうか?ここでは新築住宅の検査体制は信頼できるのか、心配なときは第三者の検査を利用するのがおすすめである点、不動産会社や施工会社の反応が気になる場合について解説していきます。
新築住宅の検査体制は甘い!?
新築住宅の検査体制は甘いのかという問いに関して回答するのであれば、「概ね甘い」というのが回答になるでしょう。ご存知、建築業界は「持ちつ持たれつ」の世界で、作業分業化が進んでいます。基礎、建て方、内装、外装、屋根などがそれぞれ違う業者の担当であることも珍しくありません。建築会社は、施主に引き渡すまでこのような雑多な下請けとの付き合い、融通、叩きをして儲けを出しています。逆に下請けは値段と工期などについて日々建築会社とやりとりをしており、両者は切っても切れない関係にあることは自明といえるでしょう。
つまり「どこかが勝手な行動をすれば、すべてに影響がおよぶ」という現実があります。そんな中で、「身内」が何かをしでかしても「たいしたことない事柄」であれば見逃すのがどこの業界でも常といえるでしょう。
ここでいう「たいしたことない事柄」とは、「中間検査、完了検査に通らない」「建築基準法に抵触する」「工期に影響する」など以外の事柄です。しかし、これらの事柄は「物凄くまずいこと」。検査が通らない家は根本的に構造や耐久性、耐震性に問題があることを意味します。そんな住宅を施主に引き渡せません。いずれにせよ、どこかでバレます。
建築基準法は、「最低限住宅が具備すべき項目」を定めたものです。裏を返せば、これが満たせない住宅は欠陥住宅になります。そんな項目も満たせない住宅には誰も住みたがりません。工期に影響するのは会社がもっとも嫌がることです。工期が伸びればそれだけ人件費が嵩み、建築費用が大きくなるので、会社の利益が減ります。
会社は「なぜ工期が伸びたのか」「いつ完成させるのか」を施主に説明しなければなりません。同時に下請けの尻を叩いてなんとか影響を最小にするようにします。つまり「今回はこの物件について突貫で終わせなさい。次回の発注はするが、金額をその分下げるよ」といった融通がされているわけです。
このような現状がある中で、「〜項目に及ぶ自社検査をしっかりとしているので安心してください」「一貫した管理体制のもと工事しているので、施工の質が担保されている」などといった説明をされてもまったく信用できないことがわかるでしょう。
心配なときは第三者の検査を利用するのがおすすめ?
上記のような現実の中、心配になる方も多いでしょう。そんなときは第三者の検査を利用するのがおすすめです。これは、いわゆるインスペクションといわれるもので、主に中古住宅の状況確認、売買での信憑性確保のために活用されているものですが、新築物件に関しても実施されています。
建築会社とは全く無関係の第三者が住宅の状態を客観的に判断、報告してくれるものです。基礎の厚み、耐久性、床下の状況、外壁、内装の施工の正確性、構造物の傾き、屋根裏の状況、断熱材の施工状況など実にさまざまな項目をチェックしてくれます。
新築工事の場合は、建築前から依頼することも可能です。地盤の状況、杭の本数や太さは適切か、基礎と柱をつなぐ金物は正しく施工されているかなど、完成後は見ることのできない部分まで確認して、問題があれば是正を勧告することもできます。仮に建築に問題があっても、建築会社は素人の扱い方には慣れているものです。専門的な理論と根拠を並べても無下に扱われるのがオチでしょう。
しかし、インスペクションをすることで、このようないい加減な対応をはねのけられ、要求があれば説得力を持って実現させられます。価格は概ね工事が完了した後で10万円くらい、工事途上を全て記録するもので20万円から30万円といったところです。高いか安いかは人によって異なるとは思いますが、やらないでヤキモキするくらいなら、実施して安心を得た方が精神的に大きなメリットがあるといえるでしょう。
不動産会社や施工会社の反応が気になる!
不動産会社や施工会社の反応が気になるといった方がいますが、そのようなことはまったく気にする必要はありません。あなたは建築を依頼し、成果物を受け取る権利がある人間です。その家が要求した性能を具備しているのは当たり前で、インスペクションを実施するとしても堂々としているべきです。仮に問題があれば、すぐにでも是正を要求するようにしましょう。
まとめ
新築住宅の検査体制は甘いのか、心配なときは第三者の検査を利用するのがおすすめである点、不動産会社や施工会社の反応が気になる場合について解説してきました。新築住宅を建築するには大小多くの問題があるものです。しかし、それに対処することは可能で、早ければ早いほど成果は出やすいです。上記を参考に建築会社の検査が心配なときはホームインスペクションを実施してみてはいかがでしょうか。